デジタルCDI製作 最終更新日
2007/07/12

2007/01/15 ★CDI製作のきっかけ
2007/01/16 ★ソフトでのシミュレーション
2007/01/23 ★点火装置の製作
2007/01/25 ★ノイズで誤動作PART1
2007/01/27 ★キャビーナCDIの進角を調べる (2007/04/07一部訂正)
2007/01/29 ★進角データの組み込み
2007/01/30 ★ノイズで誤動作PART2
2007/01/31 ★大幅変更へ
2007/02/18 ★試作1号機は・・
2007/02/19 ★点火時期を早くするには・・・
2007/03/01 ★完成品1号機
2007/03/05 ★問題点と解決方法
2007/03/11 ★進角コントローラ
2007/03/20 ★とりあえず終了
2007/03/25 ★雨で漏電して破壊・・・
2007/04/07 ★マイナーチェンジ (for CDI1号機を受け取った方へ)
2007/07/12 ★「自作」するにあたって・・・

CDI製作のきっかけ  2007/01/15

ながらく新規改造を休んでいましたが何かやりたくなりましたのでとりあえずすべきこと
からやっていくことにしました。

 現在、家庭内においてマイコン制御でない家電製品の方が少なくなってきたと思いま
す。原付でもDIOの50やアドレスV125にFI(燃料噴射)が採用され、コンピューター
制御がやがてあたりまえになっていくこととも思います。

 ご存じない方の為にもう少し詳しく申しますとマイコンといってもWindowsのパソコンの
ように大きなものでなく、数百円程度で購入でき、およそ普通のICチップと同形状の電
子部品ですが、機能をプログラムできる・・・というしろものです。プログラムといっても
ゲームのように大きいものなど到底できません。できるといえば
・時間を計測する
・一定の入力に対して信号を送信する
・シリアル通信する
などです。端的に言うと
入力検知・信号出力・加算・減算・比較・カウント
ができるだけです。

しかし、車載機器の制御にはうってつけでこれからの自分の構想の中で必ず必要にな
るので知識と経験を積むためにとりあえずデジタルCDIでも作ってみようと思いました
自分が選択したマイコンはATmel社の物で、「AVR」という通称です。一番メジャーなものは「PIC」なのですが対価格性能比でAVRにしました。左図の製品は秋葉原の秋月電子で1個120円でした。

とりあえずマイコンのプログラムができなければいけませんのでまずプログラムライタと
いう上図ICに書き込む為の装置がなければなりません。秋葉原では完成品も購入でき、
価格は1万〜です。そもそもマイコン回路を作る人はプログラムライタも自作するのが定
番ですので私も自作することにしました。

自作したプログラムライタです。ELMさんのHPに作成情報がありました(とても感謝です)

材料費は1000円程度でその8割がMPUソケット(上図中央の黒いソケット)です。
(興味がある方は「AVR マイコン」で検索するといっぱい情報が得られます)


・・・とりあえず次回は「ソフトでのシミュレーション」 に続きます。


ソフトでのシミュレーション  2007/01/15

 いきなり回路を構築するのは難しいことで、マイコンといっても128バイトのメモリと
1000行のプログラムで本当にできるのだろうか・・・と思います。

まず、CDIの動作原理の説明です。

点火タイミングの決定
フライホイールに1箇所突起があり、ジェネレーターと一緒に小さなパルスジェネレータ
という部品があります。1回転に1回だけ、上記突起が通過する時発電されます。これが
点火タイミングパルス信号になります。

スパーク電圧発生
CDIの中にはトランジスタと抵抗とコンデンサを2セット組み合わせた「インバーター」
という回路があります。これは「矩形波」を発生させる回路でトランスを接続すると
2次側に交流の電圧が発生します。トランスの巻き数比の分だけ電圧が上がり、
CDIではマニュアルの表記から「100V以上」となっています

スパーク電圧充電・放出
一度交流にして昇圧したものをダイオードを使って再び直流にし、コンデンサに充電
させます。点火タイミングパルス信号の電流でサイリスタを導通させ、コンデンサの
プラス側をアースに短絡させることにより、イグニッションコイルに−200V以上の
電圧が流れスパークプラグに火花が飛びます。

普通のCDIでは点火パルス信号とサイリスタはアナログ回路で接続され、「進角」に
相当する部分はアナログ回路のコンデンサの充電時間で実現されています。
・・・簡単に言うと低回転ではタイミングパルス信号の電圧が低いため、コンデンサの
充電時間がかかる為に信号を受け取ってから着火するまで時間がかかりますが
高回転では時間が短くなる=点火タイミングが速まる・・・わけです。
キャビーナのCDIは進角しません)

「デジタル」CDIでは上記の工程の内、タイミング信号を受け取ってから計算した値
の角度後に点火信号を出すわけです。具体的には

1・点火タイミングパルス信号を検知する
2・現在の回転数を算出する
3・回転数ごとに決まった角度を過ぎた時に点火信号を出力する。

上記がマイコンのソフト側での最低限の動作となります。
ハード側の話はおって後日説明します。

ソフトの面で前提条件として
A・点火タイミングパルス信号はソフトから読み込めるものとする(ポート入力)
B・ソフトで点火信号を出力できるものとする(ポート出力)
C・最大回転数は12000回転とする(200Hz)
D・最低回転数は500回転とする
E・回転数ごとの進角データは100回転ごととする(500~12000で115段階)
F・マイコンの動作周波数を10MHzとする。

としました。
最初にPICマイコンで製作を考えましたが、12000回転の時、1°経過する時間は
14μ秒でこの間に実行できる命令は70命令です。70命令しかできないと回転数
の算出でぎりぎりになってしまいます。一応PICマイコン用アセンブラでプログラムを
作成して(サンプルプログラムソース)アセンブラの統合環境でシミュレートしてみ
ましたが実用には遠いと感じました。

この後にAVRマイコンの存在を知り、調べていくうちにC言語での開発もできそう
なので(フリーのコンパイラがあると言う意味です)AVRで挑戦しようと作成した
ものがこちらです(開発途中デジタル進角プログラム)。
※開発ツール「AVR Studio 4.12」が必要です(ATML社のダウンロードページ)また、
C言語の開発は「WINAVR」も必要です(SOURCEFORGEのダウンロードページ

プログラムをシミュレータで実験する分にはなんとかなりそうな気がしてきました。

次回の「点火装置の製作」に続きます
点火装置の製作  2007/01/23

マイコンのソフトはなんとかなりそうなのでとりあえず秋葉原に使えそうなものを
物色しに行きました。構想している回路は下記のものです。



この回路の昇圧・点火メカニズムはTORYさんの「TORYのCDI点火装置製作室」を参考に
させていただきました(とても感謝です)
そしてとりあえず製作したシステムが下記のものです。
上記の回路図には無いのですが左上にプッシュスイッチ、左下にLEDがありテストと動作確認用です。

この回路をバッテリーに接続し、リード90用のイグニッションコイルを青線につなぎ、スパーク
プラグをつけてから黄色のスイッチを押すとスパークの火花がとぶ・・・という予定です。

回路説明は・・・・
マイコン制御でインバーター駆動しています。PB3とPB4を4.4KHzでトグルさせてトランジスタ
を駆動させ、トランスにより昇圧しています。出力電圧をテスターではかるとAC160V位でした。
D1とD2で交流を両波整流して直流にし、イグニッションコイルにつながれたプラグがアース
されているとC5に電荷がたまり、これがスパーク用となります。SCRのゲートに電流がとおれ
ばC5にたまった300Vの電圧がプラス側が0V、マイナス側が-300Vとなってイグニッション
コイルに流れ、プラグがスパークする予定です。
SCRのゲート電流の制御を、黄色スイッチのONでPB1が3クロック(0.0000003秒)だけ
HI(5V)になることにより行います。この制御ためのサンプルプログラムです

・・・さて、実験を開始します。・・・と・・・"バチ"と大きな音をたててスパークしました。
とりあえず実験は成功の模様です。
(※3クロックではサイリスタが駆動できませんでしたので実際は10クロック必要でした
所要時間は1マイクロ秒です。)

次回の「ノイズで誤動作PART1」に続きます・・・・


ノイズで誤動作PART1  2007/01/25

 とりあえず点火するようになったので、回転数に応じた点火シュミレーションをするべくプ
ログラムを書き換えてみました。ボタンを押すとまずは500回転の間隔で、次に1000回転、
2000, 4000, 8000,12000 となって次に停止です。そこで前回のかいろのまま実験をしてみ
ると・・・・・・最初に"バチ"と点火するだけで停止してしまいます。
 プログラムがおかしいのかと思って何度もマイコンシミュレーションで実行しましたが問題
ないようです。多分スパークするとき、パソコンに接続してあるスピーカーからノイズが出て
いるので何かしらノイズ関連かと思います。
 かなり悩んで電機メーカーの知り合いに相談してみると、

 1・配線は線でなく「面」の方がノイズに強くなる
 2・リセットピン(RST)にプルアップ抵抗がついているか

という話を聞いたので、とりあえず回路を更新することにしました。
テスト用にプッシュスイッチとLEDがついています。



今回追加になったのは 上図 R0の抵抗です。
そして実験開始でSW-2を押すと・・・"バチバチバチ・・・"と500回転間隔で点火しました。
続いて押すと・・・1000回転、2000回転・・・12000回転までスパークが安定していました
のでマイコンでの点火実験は成功です。

これ以降点火タイミング受信回路を考えて見たいと思います。

※上図では点火タイミング受信回路が描かれていますがこの段階ではまだでき
あがっていませんでした


次回、「キャビーナCDIの進角を調べる」に続きます・・・・
キャビーナCDIの進角を調べる  2007/01/27
2007/04/07

 さて、点火はできるようになったので、とりあえずピックアップパルスをマイコンで拾う
方法を考えることにしました。いきなりCDIとして実験するのではなく、簡単に言うと、ピッ
クアップパルスで動く「タコメータ」を作れれば回路はOKということです。

 そこでフォトカプラに大きな抵抗をつけて、スパークパルスを拾えるかという実験を
兼ねて構想していた回路を実装した回路を作成することにしました
(※前回の回路図の「PULS_IN」の部分です)



上図の回路で、作成したものが下図になります
ボタンが2つあり、上の黄色が動作モード切替、下がサブモード切替です。CDIの配線と割り込ませハーネスを作成して接続します。

回路の説明です。

マイコンで3つの7セグLEDをダイレクトドライブしています。3つのLEDは3ミリ秒毎に
更新して情報を表示します。3桁あれば10000回転まで100回転単位で表示できます。
上図下側はスパークパルスの検出です。ダイオードの接続が逆になっているのはスパー
クが負電圧の為です。PULS_IN以降は2つの回路を試す為に設置しています。1つは
トランジスタによる増幅で拾えるかのテスト用、もう一つはフォトカプラで拾えるかのテスト
用です。フォトカプラの方はマイコン側はプルダウンで稼動するとHi信号、トランジスタ
の方はプルアップで稼動するとLo信号としていますが別に意味は無く、回路の勉強
の為に2種類用意してみただけです。

今回は接続ピンがいっぱいなのでマイコンは8MHzの内臓クロックを使用しています。

機能の説明です。

黄色ボタンを押すと下記の機能が順番に実行され、1に戻ります。

1・トランジスタ回路で読み取ったタイミング信号でのタコメータ機能
2・フォトカプラ回路で読み取ったタイミング信号でのタコメータ機能
3・トランジスタ回路で読み取ったタイミング信号とスパーク信号の時間差から
  進角度を表示
4・フォトカプラ回路で読み取ったタイミング信号とスパーク信号の時間差から
  進角度を表示
5・トランジスタ回路で読み取ったタイミング信号をカウント
6・フォトカプラ回路で読み取ったタイミング信号をカウント

前回のタイミング信号と今回のタイミング信号の時間をもとめると回転数がわかります。
また、今回のタイミング信号からスパーク信号までの時間から割って360をかけると
タイミングから進角した値がわかります。

この回路の為のプログラム(タコメータ・進角)です。

さて、作成してエンジンをかけてみると・・・エラーもなくいきなり回転数が表示されました。
タイミングパルス取得回路は問題無いようです。ただ、省電力で7セグダイレクトドライブ
をしているので非常に暗い・・・です。また、タコメータにデジタルはよくないです。数字が
頻繁に入れ替わるので判断が難しいです。バー状態に常時されるLEDの方がよいです。

さて、キャビーナの純正CDIの進角を調べてみると、マニュアルには、
1800回転時、BTDC 18度
1800回転時、BTDC 17度
とあります。この時、作成した回路はほぼ「1」(角度です)を指しています。
ということは・・・ピックアップコイルの位置は
BTDC 19、又は20度であることがわかります。
BTDC 18、又は19度であることがわかります。

回転を上げていくと4000回転くらいで表示が「2〜3」位になって、点火時期が遅く
(タイミング信号から2、3度経過した時にスパークしているということです)
なっています。6000回転位では3〜4程度を指していました後は見ている余裕が
なくなるので判断できていません。

これはどういうことかというと、点火タイミングからスパークまでの時間が一定で、
回転数が上昇していると相対的に高回転でのスパークが遅くなります。ただし
ピックアップコイルも発電機ですから高回転では発生電圧が高くなり、結果として
ピックアップパルスの立ち上がりが早くなりますので完全に比例はしません。

さて、何故デジタルCDIかというと、点火時期を任意に調整できるというのが
最大のメリットです。今回得られた進角データ、成功した点火タイミング信号取得回路
を元にCDIの製作を進めていこうと思います。


次回、「進角データの組み込み」に続きます・・・・


進角データの組み込み  2007/01/29

さて、ピックアップパルス信号取得もできるようになりましたのでCDIとしての体裁を
ととのえて前述の回路を組んで箱におさめてみました。
大きさは純正のCDIよりかなり大きくなります。トランスの背丈があるので高さもかなりあります。箱は塩ビの板で作成してあります。

とりあえずプログラム内容は決められた時間ごとに数字を加算し、この数字が現在
回転数となります。あとは数字に応じた進角データを設定し、ピックアップパルスを
検出したら回転数に応じた待機時間後に点火信号を送ればよいだけです。

これを電卓で計算しているととても手間ですので設定の為のWindowsアプリケーションを
作成してみました。

ピックアップコイルの角度を設定し、マウスでドラッグしながら回転数に対する進角をきめていきます。ドラッグすると選択している回転数以降の値が全て移動します。ダウンロードはこちらから

上図のデータは大体キャビーナのノーマルに近いと思って適当に設定してみました。

製作したCDIにはプログラムインターフェースがついていますので配線を接続して
プログラムを組み込んでみました。動作実験でイグニッションコイルを装着してバッテリー
に接続してテストボタンで動作を見てみたところ???動作がおかしいのです。
ピックアップパルスを検出するとLEDが点灯するはずなのですがスパークで勝手に
LEDが点灯しています。

・・・・うーん・・・というところで

次回、「ノイズで誤動作PART2」に続きます・・・・(誤動作シリーズはPART10位まであります)
ノイズで誤動作PART2  2007/01/30

どうも高電圧が流れると誤動作するようでだめですね・・・。

しばらく試行錯誤がしばらく続き、回路を変更してNPNからPNPにしたりしました
がだめで、トランジスタをFETに変更してもだめでした。結局・・・



C5にコンデンサを入れ、上図Q0のトランジスタをチップタイプの「2SC3325」に
変更したところ誤動作しなくなりました。チップタイプは体積が極端に小さいので
対ノイズ性は高いようです。(ただしハンダ付けが大変なのですが)当然D3の
ダイオードもチップタイプに変更です。

とりあえず誤動作しなくなったのでいよいよ実機に搭載して動作実験です

次回、「大幅変更へ」に続きます
大幅変更へ 2007/01/31

さて、実機に接続してセルを回してみますと・・・あっけなくエンジンかかりました。
走ってみると・・・走れました。近所を一周して帰ってきて、思ったより簡単だった
な・・・と思いましたがこれが間違いのもとでした。

プログラムを多少変更して進角データを整備してから再び走りだすとある程度
走ったところで4000回転以上上がりません。接触不良かと思ってエンジンを
停止し、確認後再始動したところ、今度はアイドリング以上にエンジン回転が
上がらなくなりました。再びエンジンを停止したところ、今度はセルをまわしても
うんともすんともいわなくなりました。

しばらく途方にくれて再度チャレンジしたところ普通にエンジンがかかり走行で
きるようになりましたので帰宅しました。

考えられることは「熱暴走」ですが12000回転点火時の消費電流は0.3A未満
ですので発熱は問題にならないと思います。やはりマイコンが誤動作している
と思って思い切ってハンダをはがして張り替えてみました。
比較用の前回の配線図です
同じ基板です。やけくそのようにチップ部品に変更し、銅箔テープで対ノイズ性能を向上させました。マイコンを左図のようにすると大幅に安定します。(GNDにアースします)

チップ抵抗・チップトランジスタ・チップダイオードを使用しています。目がつかれます。
はんだごては15Wのものを使用しています。さらにスイッチ等は必ずプルアップして
あります。また、プログラムでマイコンの未使用ピンを全て「出力」にすることで誤動作
を防ぐことができます。

ちょっと大変でしたが今回の変更を行ったところ、安定して走れるようになりました。
試しに秋葉原まで部品を調達しに行きましたがなんともありませんでした。



回路図です。書いたあとで気が付きましたが、VCCとGNDの間に10Kの抵抗をいれたのが
抜けています。マイコンが誤動作した時、SLEEPモードになるとコンデンサの電力だけで
数分間稼動してしまいますのでそれを逃がす為の抵抗です。

これで試作0号機のハード面は整いました。あとはプログラムで進角データの調整や
通信機能などを利用した設定等へ進んで行こうと思いました。。。

・・・・が、一連のCDI製作の実験の過程で純正CDIを壊してしまいました。このことがきっかけで
分解してみるとその小型なのに高性能なことに驚かされました。高圧出力回路の効率
が全然違うのですね。
そこで試作1号機の製作にとりかかり現在に至っています。

しかし小型化は、本来の趣旨は「デジタル」CDI製作であり、CDIそのものの高出力化
を狙っているわけではありませんので本道をはずれてしまいます。なのでコンテンツとしては
紹介程度にします。あくまでデジタルCDI製作は「マイコン制御」の勉強の為です。

次回は、かなり後日になると思いますが正しい回路図と正式なプログラムを公開します。


試作1号機は・・ 2007/02/18


どうしても純正CDIのサイズにこだわって何度も失敗を重ねて作成しました。ほぼ同じサイズ
になりました。
一見モデムのように見えますが通信オプションコネクタとして設置しています。このCDIの子機(情報端末)を後日製作して設定をリモートで行えるようにする予定です。電話線であれば入手も容易ですし。

トランスのサイズは小さいですが、この1号機の方が出力がはるかに大きいのです。
原理は簡単で、スイッチング電源と同じです。使用している部品も高周波用で、

・低ON抵抗のFET(千石電商で120円)
・高周波用フェライトコアトランス(鈴商で売ってた50円のパルストランスを巻きなおし)
・ウルトラファストリカバリダイオード(ラジオデパートで50円)
・630Vの高耐圧積層セラミックチップコンデンサ(秋月電子で0.1μが20個200円を10個使用)
・発振周波数は200KHz(少なくとも0号機の20倍以上、マイコンは120円)
その他ケースが170円、LED、 チップ抵抗、チップトランジスタ、チップコンデンサなのですが
1台原価は1000円ちょいだと思います

試作0号機より少ない電力で大きい出力が得られるのが特徴です。
電力変換は発振周波数を上げれば小さいトランスでも大きい出力が得られます。
写真のトランスと同サイズ程度のものがどこかのメーカーのカタログで300KHz発振で
出力15W程度になっていましたのでその位はでると思います。

その代わりに高周波でインピーダンスが低いスイッチングを行うととスパイクノイズが
きつくなるのでこれがサイリスタの誤動作を引き起こします。スイッチング電源では
対策として(サイリスタなんてありませんけど・・・)

スナバ(C-R)回路・・・誤動作がひどくなりました。
平滑用コイル・・・・・・・電動タコメータが3倍の値になりました
大きなコンデンサ・・・・点火指示を出してからの反応が遅れる

など全て試しましたが結局は「比較的大きなコンデンサ」と「均等の点火タイミング」
「誤動作の補正」を行うことで回避できるようになりました。FETをトランジスタに変更
すると誤動作しなくなりますが効率が大きく下がるので難しいところです。

最初は小型で大出力の為のトランスやコイルの作成に半月費やし、やっと出来たら
誤動作対策で現在やっとまともに走れるようになりました。

試作1号機なのでユニバーサル基板に銅箔テープでパターンを作成してありますが
すでにプリント基板の準備もできているので、1週間程度誤動作レベルを調べて
完成品1号機としたいと思います。

ぺんぎん流デジタルCDIのメリットは、自由に設定できる点火時期でエンジンパワー
を引き出せれば・・・と思います。

非売品です。XXXX円で買いたい・・・とかいうのは失礼ですからやめてください。
私は自分の挑戦と勉強の為に製作しています。販売目的はありませんし、しません。
けど、進角マップの最適化に協力してくれる方、又はキャビーナ乗りの方に評価用
に1個差し上げます(※但し以前私から無償提供品を受けている方を除きます)
多分ホンダの原付スクーターであればたいていそのまま装着できるはずです。
御用入りの方はきゃびさんのBBSでお願いします。

(2007/03/14 予約により品切れ)


点火時期を早くするには・・・ 2007/02/19

さて、本道にもどりまして点火時期とエンジンの話です。

昔から定番のパワーアップの一つに、ハイオクにして点火時を早める・・・というの
があります。点火時期を早めるのがパワーアップでハイオクにするのはデトネーション
防止だと思うのですが私もなぜこれでパワーアップするのかよくわかってません。

点火時期を変更するのは車であればディストリビューターを動かしてしまえば簡単
なのですが二輪車の場合はどうすればよいのかというと、

・フライホイールの突起を削る(早まる)・または溶接して盛る(遅くなる)
・ピックアップコイルの穴を広げて多少オフセットする

などが考えられます。私が思うに、火炎伝搬速度は変わらないので低回転は上死点
に近い方が圧縮が強いので爆発力が増すのではないかと・・・なので回転上昇に従い
点火時期を早くした方が良いと思うのですが実際は燃焼室の形状と火炎伝搬速度の
関係があるので思った通りにならないと思います。

デジタルCDIですけど実際はピックアップコイルと上死点の関係以上に早くすることは
できませんからたいしたパワーアップにならないと思います。点火タイミングを調整
して「最適な点火時期」にして燃費・トルクアップはできそうですが。

・・・というのでは芸がありません。

実際にチューニングメーカーのデジタルCDIのプログラムを見たことはありませんから
わかりませんが、「点火マップ」という言葉が出てくるので、回転数に対する進角データ
テーブルがプログラム上に存在することは間違いありません。マイコンの演算速度
から考えて、特定回転数の時定めれた待機時間後点火信号を送る・・・・と考えてよい
と思います。するとプログラムで管理しているのは回転数に対する「待機時間」で
あるわけです(試作1号機はこの方式です)。私が最初から構想しているのは回転数
に対する「角度」データであり、ピックアップパルスの間隔から「計算」で求めること
でさらに1周後に点火することによりピックアップコイルの位置を飛び越えて点火時期
を早める・・・というものです。

デジタル進角プログラム」(現時点の完成版です。コピーライト by ぺんぎんくん)
はそのようなプログラムになっており0号機をこのプログラムに書き換えて何度も
実践しているのですが完全な動作に至っていません。
(複製・改変・商用利用可能 ただしどこかに「ぺんぎんくん」と書いておくこと、また
ぺんぎんくんはこのプログラムを含め、公開している内容に対する一切の責任を負いません。
「改造自己責任」で)

<動作原理>です。

・回転数が期待最低回転数(500回転)より低い場合は即時点火します。
・期待回転数より高くなった時1度だけ、即時点火+1周後の点火予約をします。
・以降1周後の点火予約をしていきます。
・点火予約中にピックアップパルスを検出した場合、点火予約をキャンセルし
 即時点火を行ないます。

点火予約をピックアップ信号の間隔の時間と、その時間で求められる回転数から
得られる角度データを元に待機時間を割り算をして計算します。この時マイコンの
処理負担がとても大きくなりますので計算開始タイミングを点火信号出力直後に
することにより時間的余裕ができます。
(割り算・掛け算はソフトで行い総合で600命令以上かかります。AVRは10MHz
動作時に60μ秒かかり、12000回転で動作時は4度以上進んでしまいます。点
火直後は次の点火まで5ミリ秒もありますのでかなり時間余裕ができます。1周
後にすることがミソなのですね)

マイコンのシミュレーターでは正常に点火信号が出ていると思うのですが実際に
動作させると4000回転で”ババババ”となって回転の上昇が止まってしまいます。
バグがあるのかピックアップ信号取得回路に問題があるためなのかわかってい
ません。

1号機と同じ進角ウェイト方式のプログラムもあるのでそれをもって0号機の完成
としても良いのですがぺんぎん流はこの「オーバーピックアップ」プログラムに
こだわりたいと思います。このプログラムがうまくいけば、純正CDIとピックアップ
コイルの間にかませる装置を作ることにより自由に点火時期を調整できるように
なるはずです。CDIを丸ごとつくるよりも手軽で安全ですね。

こんな方式にしたらよいではないか?とかご意見ありましたらお便りお待ちして
おります。


完成品1号機 2007/03/01


プリント基板を使用した1号機が完成しました。
上側が完成品で下側が試作品です。レイアウトが若干違いますが基本システムに変更ありません。

製作したプリント基板です。
試作品より部品点数を若干減らしましたので後述の試作品レイアウトよりも簡素になりました。穴あけが大変です。右側は試作1号機に使用した銅箔テープの基板です。

トランス比較

左側が試作0号機で使用しているものと同サイズのものです。右はもともとは「パルストランス」を巻きなおしたものです。

製作工程(試作品のままのレイアウトなので完成品よりも部品点数が多いです)

左 最初
中 途中
右 最後

最初に細かい部品からハンダをつけていきます。チップ部品の場合は基板にハンダを
つけてから溶かしながらつけるのがコツではないかと思います。しかし・・・こんなのを公開
してもよほど手馴れた人しか作れないような気がします。

部品リスト

抵抗      
  チップ102 10個位 2125サイズ 1000Ω
  チップ103 10個位 2125サイズ 10000Ω
  チップ511 2125サイズ 510Ω LEDに使用
  チップ221 2125サイズ 220Ω ピックアップ用
  チップ101 2125サイズ 100Ω サイリスタ用
  1MΩ 2 1/6W
  4300Ω 1 1/6W
  200Ω 1 1/6W
コンデンサ      
  チップ22 2 2125 22pF クリスタル用
  チップ103 1 2125 0.01μFピックアップ用
  チップ104 2125 0.1μFパスコンとして
  3.3μF 7805の出力平滑用
  10μF 無極性の電解物。微分回路用
  470μF 出力安定用。低ESR品
  0.1μ 10 点火用。630V(銅板で10個はさむ)
ダイオード 31DF ショットキーより速いもの。6E(600V)
  V615 クランプ用。チップのもの
FET 2SK2782 低ON抵抗なら他でも可
フォトカプラ PC817 ピックアップパルス用
クリスタル 10MHz  
ディップスイッチ   2回路のもの
マイコン ATTINY2313 AVRマイコン 末尾がVでも可能
LED   3.5mmの普通のもの
レギュレータ 78L05 小さいもの
ICソケット 20ピンのもの  
ピン   2X3の状態に切断する
電話コネクタ    
サイリスタ SF3JZ47 3でも5でも8でも可。Jであること
トランス   ※1。フェライトコアでなくても動きます。
ツェナー 6A3 出力電圧リーク確認用 5.5Vのもの
ケース SW−65 要加工
銅板 0.3mm 少々 ヒートシンクを手作りする

※1・・・トランスは内側に0.2mmの線を3往復で190回巻いてあります。外側に0.4又
は0.5の線で24回または25回巻いてあります。

最近はプリント基板CAD 「PCBE」を使用してデザインしながら頭の中で回路を組み立てる
ので回路図が完成していません。

試作品でまともに動くようになってからも誤動作した場合にLEDでわかるようにしていました
が1度も誤動作しませんでした。(プログラムのバグだったようです)なので電圧リーク検出
用の回路部分は不要なのですが念のために入れてあります。

回路図、プリント基板パターン、ソースプログラムなどの開発資料が必要な方はきゃびさんの
BBSで連絡下さい。作ってみたい方がいたらこのHPにアップロードします。
(組み立ては大変なので多分やるひといないと思います。しかし内容は純正CDIを分解して
得られたものと比較しても劣っているとは思いません。)

0号機をベースに進角プログラムをすすめようと思っていたのですが1号機をベースにする
かもしれません。


問題点と解決方法 2007/03/05

今回0号機を含め、1号機完成までの問題点と、どのようにして解決したかをまとめて
現在CDIを製作されている方、これから製作しようとされる方の参考になればと思います。

1・ ピックアップ信号取得の問題

どのような回路にしても1回転中に複数回信号を拾う場合があります。しかも同じ回路
構成でも複数回拾うものと拾わないものとあります(部品の個体差)。

トランジスタを利用した場合が一番敏感でどんなに弱いキック・セルでも信号を拾えます
が複数回拾う確立も高くなります。

例えばダイオードを1つかませて入力信号の電圧を降下させるとある程度問題を押さえ
られますが0.5V降下させたところ点火時期が2度遅れました。

トランスの出力が弱い場合、例えば信号を2回拾ってしまっても1回目の信号で点火した
直後に2回目がきてもコンデンサの充電が不十分なので点火出来ない状態になり、
複数回拾っていることがわからない場合もあります。

メーカー純正CDIの回路図をみるとほとんどの車種はピックアップ信号の先は微分回路
と積分回路が連結された状態になっています。


ピックアップパルスを抵抗で電流抑制、ダイオードで整流した後上のコンデンサが充電さ
れるまで電流が流れ(正弦波を微分しても位相がずれるだけ)ます。逆に言うとコンデンサ
が充電されてしまえば電流はほとんど流れません(並列の抵抗が大きい場合)。これによ
りピックアップ信号を短くし、次はグランドに並列にあるコンデンサが積分回路を構成し、
出力レベルを遅らせると同時に高周波成分をカットして複数回信号が入るのを防いで
います。並列の抵抗はコンデンサの放電用です。上側のコンデンサの容量が小さいほど
誤信号を防げますがあまり小さいと信号が届きません。(3.3μF〜)

この回路を入れると複数回信号はほぼ発生しません。しかし点火時期はかなり遅れます。
最終的には最後のスイッチング素子の特性に左右され、デジタルCDIの場合はマイコン
の処理速度が速いと微少なレベルの信号に反応してしまいます。

結局解決としては0号機はそのまま、1号機は一定時間(13μ秒)オンならばピックアップ
信号としました。


2・サイリスタ誤動作

0号機はよいのですが(誤動作してサイリスタがONしても勝手に止まる)1号機は点火
信号をださなくてもトランスの出力を上げていくと勝手にサイリスタが導通してしまいます。

サイリスタでも東芝のSFnJZ47シリーズはその下位クラスのSFORnJシリーズに比べて
耐ノイズ性能が悪いです。小さいサイリスタの方がノイズに強い・・ということですね。
実際にSF5JZ47を使用して未対策の場合は出力を少し上げただけで誤動作です。
しかしSFOR3Gは平気でした。
二輪車用のCDIはNEC製の「2P4M」という製品を使用しているのを複数ケースで見ました。
耐ノイズ性能もあるのでしょうか・・・。

前述のSFOR3Gは耐圧400V、平均ON電流300mAという仕様です。ピーク時のサージ電流
は9Aまで耐えられるのでこの製品でも大丈夫ですが(実際試作1号機はこれで普通に走
れます)上のグレードの製品のノイズ性能を上げてほしいです。

さて、こちらはNECエレクトロニクスのHPに対策方法どおりに

 a)ゲート・カソード間に0.1μFのコンデンサと1KΩ程度の抵抗
 b)アノード・カソード間に0.1μFのコンデンサと100Ω程度の抵抗

ですがアノード・カソード間の抵抗の意味が良くわかりません。抵抗とコンデンサでスナバ
回路を組めというのかOFFしないことが前提なのか・・・ここは0.1μFのコンデンサだけ
入れました。

実際にCDIですとアノードの部分は200V以上ですから0.1μFのコンデンサを入れる
の大変なんですよね。

とりあえず対策どおりにしたら勝手にONはなくなりました。点火ごとの発振停止時間
(サイリスタの逆回復時間はデータシートに書いていませんが多分遅いと思います。前述
の2P4Mはかなり高速でした)を100μ秒程度みると誤動作はなくなりました。

3・発生電圧と発振周波数

この件は非常に難しくトランスの1次側巻き線のインダクタンス値によって最適な周波数
が変わってしまいます。
発振が高速であれば電圧が高く・・・なるわけではありません。

トランス2次側の発生電圧=トランス1次側の起電力*巻き線比

トランス1次側の起電力=インダクタンス値*単位時間当たりの電流の変化÷単位時間

※電流が変化している時のみ起電力が生じ、変化しなくなった後はただ損失になる。

です。同じ線幅であればインダクタンス値が大きければ起電力が大きくなりますが電流
変化量が少なくなりますのでいっぱい巻けばよいわけではありません。インダクタンス値
が大きくインピーダンスが小さければ起電力は大きくなります。電流量はスイッチング素子
の性能とトランス1次側インピーダンスによります。

例えばトランジスタのベースに2Kの抵抗を入れたとすると、電源は12Vでトランジスタの
増幅率(HFE)が100倍だとして最高に流せる電流は
12 ÷ 2000 X 100 = 0.6A
となります。スイッチオンで瞬時に全開になったとして電流の変化量が0→0.6と変化
した分起電力が発生します。(実際はトランスもコイルなので導通の瞬間は電流が流れ
ない)

当然ここで流れる電流が多いほど起電力は増しますが、変化後の損失も大きくなります。

理想なのは電流が変化している間を1発振とする周波数にすればほぼ理想的な正弦波
に近づくと思うのですが。(計算式の通りにならないので試してみないとわかりません)

簡単にいうと電圧を上げるのであれば
 A) トランス2次側の巻き数を増やす(限界なし)
 B) トランス1次側に流れる電流を増やす(限界あり 1次側起電力は75V程度まで)
 C) トランス2次側にチャージポンプをつける(電圧X倍、電流1/X倍になります)

出力を上げる場合は・・・
 A) 発振周波数を高くする
 B) 巻き線を太くする(↑インダクタンス↓インピーダンス)

でしょうか。2輪用としては市販トランス「SEL−06080」で発振周波数は8K時に
無負荷電圧400V位で一番最適な状態だと思います。これ以上発振周波数を上げ
ても、1発振での電流変化の時間より短くなりますから効率が下がりますので。

小型の市販品としてはサンスイ「ST−31」をスイッチングで駆動しても10000回転
位は点火できます。発振周波数が20K程度が限界です。ただし小型だけあって出力は
小さく、電動タコメータが反応しませんが、それでも市販品で小型化を狙う場合は有効
かもしれません。

おもしろい手段としては、市販の平滑用ドラム型コイルに2重にエナメル線を巻いてトラ
ンスにします(1:8位で)。最低の発振でも無負荷で600V以上でますが発振周波数を
1MHz位にしないと十分な出力が得られない上にノイズの撒き散らしがすごいです。

4・部品の発熱

CDIの中の部品で一番発熱するのは一番損失が大きな部品です。逆に言うと損失
があるから発熱するわけで(電力が熱エネルギーになっている)電力変換効率が高
いほど発熱しなくなります。

損失は主に素子の内部抵抗によります。例えばオン抵抗が0.5ΩのFETに1Aの
電流が流れるとV=IRですから入り口と出口で0.5V電圧降下が発生します。
電力は V x I ですから 0.5W熱で損失することになります。

しかし出口(トランジスタのエミッタまたはFETのソース)が接地(GND)している場合、
CDIの場合は主に昇圧回路でスイッチング素子がトランスを通電させている時、
電力変換が行われている最中はトランス1次側で電力が消費されるのでスイッチング
素子の入り口と出口の電位差は小さいですが電流変化がなくなったあとは電位差が
12Vあるとすると損失が前述の例で1Aの電流が流れると12Wの熱損失になります。

発熱するから大きいヒートシンク・・・というのでも良いのですが昇圧メカニズムでは
発振周波数に対して、スイッチング素子がONの時間を最適化することにより変換
効率が上がり、発熱を抑えることができます。(やはり正弦波が理想)
適当なFETと80μH程度のコイルでスイッチングを試してみましたが負荷が少ない
時は2μ秒以上オンにすると損失が増えました。これは100KHzの発振ですと
DUTY比が20%ということですね。

純正CDIの中にあったFETは今となっては結構オン抵抗が高いのですが別に放熱
板がついているわけではありません。電解コンデンサの真横にありました。

それでも念の為に私の場合はとりあえず「まず貼る1番 セラックα」をヒートシンク
として貼っておきます。HIDの時でも性能を発揮した優れものです。曲面に貼れま
すし手軽です。

また、配線とかハンダとかもそれなりに抵抗がありますので
長さに比例・断面積に反比例」と覚えておきたいところです。

また部品のレイアウトも気を使いたいところです。1号機をプリント基板で製作するに
あたって苦戦したのが「FETの向き」で、通常車載品を分解すると発熱素子は基板
の外側めいいっぱいの位置にあり、背面をケースにつけて排熱します。同じように
したいのですがマイコンのピンの関係もあり配線で非常に苦戦しました。

現在はパソコンの冷却技術のフィードバックでヒートパイプなどを使うとよいかもしれ
ませんね。



5・部品選択

CDI製作を始めた直後は適当なコンデンサとか買ってきたりしたのですけど、一応
純正CDIとか車載用としては電解コンデンサは最低でも

低ESR品(詳しくはわかりませんが、105℃となっているもの)

にしたいものです。耐久性が良いそうです。電源ラインのコンデンサはジェネレータの
リップル電圧が16V以上は出てますから耐圧は25Vにします。

ただし点火用のコンデンサはフィルムコンデンサになると思うのですが低ESRですが
耐温は85℃なのですよね・・。
高耐圧の積層セラミックコンデンサはもっとも低いESRで耐温も105℃で良いの
ですが2007/03/05現在秋月電子で品切れ中です。


あと、重要ですけど「金属ケース」に入れてケースをアースする・・・またはプラスチック
ケースでシールドテープで覆ってアースする・・・ようにしないとノイズ撒き散らしになり
ますので注意したいところです。


進角コントローラー  2007/03/11

試作0号機ベースにオーバーピックアッププログラムを進めても良いのですが1号機
は試作品の段階からピックアップパルスの位相を逆に取得することによりBTDC50度
位まで点火時期を早くできますので1号機ベースで進めています。

表題の進角コントローラーそのものは線を加工すれば試作0号機にも装着できます。

これに先立ち、完成品1号機の回路図・プリント基板画像・データファイル等も公開して
おきます。
クリックすると拡大されると思います。
LCDはHD44780互換であればピン配列はそのままです。

1号機の回路は純正CDIを見ながら自分で考えたものでオリジナルです
※※動作に関しては自己責任でお願いします。)
それぞれのプログラムのファイルはデジタルCDI 進角コントローラー でダウンロードでき
ます。

(※完成品1号機もうひとつだけ作れます。ただし高耐圧積層セラコンが入手できない
ので点火コンデンサの容量か耐圧を落としたものになると思いますが、協力してくれる方
に差し上げます。車種はDIO、リード、キャビーナなどになりますが他社種では協力して
調査して対応してみたいと思います。スペイシー100はサブ基板で対応済み)

(2007/03/14 予約により品切れ)

ぺんぎん流デジタルCDI(1号機)
諸元表

装置型式 バッテリー式CDI点火装置
動作電圧 8V〜12V
制御方式 マイコン制御フルデジタル
発生電圧 230V(定電圧制御出力可変型) (純正CDIと同じ)
昇圧方式 PWM制御FETスイッチング方式
消費電流 無負荷時 30mA  12000回転時 340mA 
進角範囲 BTDC 0°〜 50°(プログラム設定による)
プリセットテーブル 進角データ3種類。ディップスイッチにより切替
点火コンデンサ 1μF(純正CDIと同じ)
インターフェース ・AVR純正ISPコネクタX1(プログラム書換え用およびホンダ4サイクル系対応のサブ基板接続用のコネクタとして機能)
・モジュラコネクタによるシリアルインターフェース(プロトコルは独自)
価格 非売品


さて、進角コントローラーです。
左図のような感じです。後にケースに格納します。液晶パネル300円だったのですがちょっと大きく装着に苦戦しました。
電話線でコネクトして、シリアルで通信しています。右側は回転数に対する進角度データを編集しているところです。(1600回転時は18度)。

※電話につないだりしないでください。

マイコンのメモリ容量が少なくプログラムが苦戦しましたがぎりぎりなんとか収まりました。
起動時に一番右側のボタンを押すと
「SETTING MODE」
と表示され以降4つのボタンで「回転数移動」「角度変更」を設定し、一番右側のボタンで
決定します。

起動時に何も押さないとタコメータとして機能します。

これに先立って1号機のCDIとしてのプログラムを進角待機時間テーブル方式から
進角度テーブル方式に変更し、計算によって点火時期を求める方法に変更して
あります。

なので現在1号機はプログラムを書き換えることで2つのタイプに変更できます。

1・ 3種類の進角待機時間マップをディップスイッチで切り替えることができる
  「進角ウェイト」方式(プログラムはこちら
2・ 進角コントローラーを使って任意の回転数のデータ編集できる
  「進角度変更」方式(プログラムはこちら

1の方がめんどくさくなくて良いのですが当初予定なので2もやりました。

プログラムのメモリがもっとあれば厳重なチェックもできるのですがいっぱいいっぱい
なのでかなりやりたいことを省きました。次回作は上のランクのマイコンを使おうと
思います。


※走行中に変更できません。走行中はノイズがひどくて通信がうまくできません。
(通信そのもはできますが、データ化けなどの問題が発生します)

CDIそのものの性能は実質純正CDI相当にしてありますのであまりわかりません。
もっと出力を上げることもできますがノイズの撒き散らしが強くなるので抑えてあ
ります。

一番重要なのは「点火時期」です。例えば5000回転時の進角をノーマルの17°
から20°に点火時期を早めると加速が全く違います。しかし1500回転時に
ノーマルの18°から20°にするとエンジンの始動性が悪くなります

性能は設定した角度により如実に変わります。ただしやりすぎるとデトネーション
発生で焼きつきの心配もありますからほどほどにしたいものです。
また、エンジンをボアアップしたり、チャンバーを装着した場合は点火時期の
調整は重要になってきます。

前述のとおりで2サイクルでも高回転の点火時期を早めて、ハイオク仕様にする
ことで馬力が上がりますので「CDIを交換するだけでパワーアップ」は嘘では
ないですけど、「・・・けどエンジンへのダメージもあります」と付け加えておきます。

欲しい方は連絡お待ちしています。もう一つだけ作れます(部品があまっているので)
(2007/03/14 予約により品切れ)


とりあえず終了  2007/03/14
2007/03/20

希望者にデジタルCDI1号機を配布しまして本企画はとりあえず終了いたします。
ザフト軍(ショップ)に対抗すべくオーブ軍も1号機の量産を開始。・・・・・したわけではありません。右側の黒ボディは希望者への配布品です。

(シリアルNo5で、試作1号機を壊し、そのトランスを巻きなおし作りました。左は自分用のNo1)

あとは使用者の意見やフィードバックにより2号機が出るかどうかは不明です。

量産できない理由はトランスが入手できないからです。パルストランスを50円で
買って来てから分解してコアを取り出す手間がものすごくたいへんなのです。

高耐圧積層セラコンは秋葉の鈴商でも売ってました。耐圧は400Vで0.1μが
1個20円なのでちょっと割高です。
結局プリント基板製作コストも含めると1つ製造するコストは2000円以上になって
しまいました。さらに全ての工程を合算すると1つ作るのに丸1日以上かかってます。

一応マイコンの機能は余すところなく使ってますので十分勉強になったと思います。
次の目標もありますのでマイコン関連はとりあえずここまで・・・です。

あと、もう一つ作るのに足りないもの・・・電話コネクタ、6P接続カプラ、6A3の
ツェナーダイオード、ケース・・です。0号機であれば量産もできるのですけど・・・・
大きいですから。

※2007/03/20 追記

このデジタルCDI1号機を現在キャビーナのノーマルCDIとして使用しており
今のところ走行中の問題点等は発生していません。
また、この製品は「キャビーナ用」ではなく「汎用」です。

始動性は進角設定で変わってしまいますがノーマルの時と変わりません。
「性能」は設定によって左右されます。公開しているプログラムの角度で
ノーマルより加速指向になり、現在の私のキャビーナにはちょうど良い感じです。


雨で漏電して破壊・・・  2007/03/25

2007/03/24・・・夜間より降りだした雨は風をあいまって「豪雨」と言えるほど
強い水害を関東地方にもたらしました。
もともとのCDI装着位置がメーターパネルの下で、フロントカウルやスクリーン
があるので「たいして濡れないであろう」という思いと、今だ耐久性テストの
最中でいつでも回路を修理可能なように「防水性」についてはさほど考慮し
ていませんでした。

本日始動しようとしたところ、セルが3秒ほど回ったところで全ての電気系統
が遮断しました。思い当たるところ調べてみたところ、バッテリーのメインヒュ
ーズが切れていました。
ヒューズを交換して想定短絡箇所をはずしてキーオンで確認・・・・
というプロセスでヒューズを4本ダメにしてCDIであることがわかりました。

CDIをはずそうと傾けたら水がダラダラ・・・と中からあふれてきました。
いくらなんでもこんなに水が入っているわけはないのに・・・と思っても実際に
結構な量の水がでてきました。



取り出した中身です。一部粉をふいています。

・・・・仕方がないので拡張性はカットして防水仕様で1つ作り直そうと思いました。


マイナーチェンジ  2007/04/07

今回はぺんぎんくんから「デジタルCDI1号機」をもらった方へのお知らせです。

完成品1号機ができた後ですぐに気が付いて放置していたのですが、進角
コントローラを使用して設定した値をCDIのEEPROMに書き込むと、電源オ
フで値が書き換わってしまう場合があります。

電源オフすると電圧が降下が始まり、その時にマイコンが正常動作できない
電圧域で誤動作してしまうようです。なので本当は「ブラウンアウトリセット」
といって一定電圧未満の場合にリセット設定しなければならないのですが
デフォルトのままだと1.2Vでリセットになっていますので不都合がでてしまい
ました。簡単な設定だけで4.2V未満でリセットにでき、設定を変えると誤
動作しなくなります。

また、シリコンで隙間を完全に埋めて防水加工もますので一度送り返して
くださるようお願いします。


※マイナーチェンジのお知らせ。
ストックでもっている最後の1台です。
発表しているものとはちょっとだけ仕様が違います。

3/11の発表の時点で既に作りおきしてあったもので、ピックアップ信号取得
回路が異なっています。2重に信号を受け取る問題の為に信号の位相の両方
の回路を独立させて安定レベルを向上させました。しかし発表してあるもの
よりも信号が遅延しますので高回転時の設定をかなり速めにしないと同じ
設定になりませんが基本的に同じもので安定バージョンだと考えていただくと
良いと思います。
隙間をシリコンで埋めていますし、モジュラコネクタ内部の穴もシリコンで塞いで
ありますので防水性が格段に向上しました。電話線を接続したままでも雨の
日も大丈夫です。

進角コントローラーは液晶パネルを小型でバックライト付きのものに変更
しました。また、4芯の電話線を使う前提で電話線から電源も引いてい
ますので配線がすっきりしました。夜でもタコメータ機能使えます。

非売品です。けど使用した結果をレポートとしてきゃびさんの「Cabina BBS」
などで発表してくださる方に差し上げています。


「自作」するにあたって・・・  2007/07/12

他の方が製作したものを見て思ったことがあったので書きとめておきます。

まず、「なにを持って良しとするか」という点ですがぺんぎんくんが一番に
挙げたいのは装置の「安定」と「信頼性」です。

キャビーナの純正CDIは「フルデジタル」です。他の方が知らない機能として、
プラグが接続されていない時に発振を停止してコンデンサに電圧がたまら
ないようになっています。また、外部はプラスチックケースですがアルミ皮膜
で覆ってノイズを拡散しないように、安定して昇圧できるようにCDIのケース
の大きさに合わない特別なサイズの大きい電解コンデンサがところどころ
に入ってたりします。

どうしても「マイコン」工作なので「ロジック」にこだわりがちになってしまい
やすいですが、まず純正CDIの回路を見ること、そして「なぜ?」回路が
そうなっているのかを理解することが重要だと思います。

純正CDIとはいえ、同じ人間が作っているものですから「最良」とは思いま
せんけど、そこで使われている回路、部品の容量などは何かしらの意味が
あります。

ぺんぎんくんが途中で0号機をやめてしまったのは「安定性」に自信が
なかったからです。プリント基板は「小型化」だけでなく、「耐ノイズ性能」
が全く違います「チップ部品」を使用することで浮遊インダクタンスを
最小化でき、やはり耐ノイズ性が向上します。かなり徹底しないと安定
使用できないと思い1号機のつくりにこだわりました。


また、16PICマイコンを使用する方が多いです。参考書の関係でやむなし
的なところがあるのですが、まず、「何をしたいのか」「その為に何が必要
なのか」・・・を考えてからの選択をお勧めします。

はじめに16PICマイコンの使用を前提にしてCDIの仕様を考えると
マイコンの制約をうけてかなり妥協したものになります。
(例えば96バイトまでしか連続したメモリが確保できないとか)

「16PICを使って、今は廃盤になったオートバイのCDIを安く作れた」
・・・というのであればとても価値のあるものだと思います。

ぺんぎんくんが思うに、デイトナ、キタコ、CF・POSH、タケガワとかデジタル
CDIを出していますのでまずはその製品仕様を見て、どのようなものを、
どのようにして作るか考えた方が良いと思います。

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