水冷化計画 最終更新日
2004/01/09

2004/07/11 ★水冷化への思いつき
2004/07/14 ★水冷ヘッド V0.1 製作開始
2004/07/18 ★水冷ヘッド V0.1 失敗
2004/07/31 ★水冷ヘッド V0.2 製作開始
2004/08/07 ★水冷ヘッド V0.2 水冷化始動001
2004/08/08 ★水冷化始動002
2004/09/04 ★更なる冷却を求めて
2004/09/06 ★失敗を積み重ねて・・・
2004/09/12 ★水蒸気まみれのエンジンルーム
2004/10/02 ★???
2004/10/10 ★V0.3.00 完全水冷化始動 
2004/10/15 ★V0.3.01 全水冷 微調整
2004/10/24 ★V0.3.02 問題点と課題
2004/10/27 ★水冷化のポテンシャル
2004/11/20 ★キャブヒーター
2004/12/29 ★キャブヒーターの実装
2005/01/09 ★水冷化終了


なぜ空冷ではだめなのか・・・・  2004/7/11
    
 エンジンを焼きつかせること4回目にして思うのですがたかだか10CC
程度の排気量増加でこんなにも耐久性が劣化するでしょうか。
 馬力を上げるということは単位時間当たりの爆発力を上げるわけです
が、爆発力が上がれば当然発熱も増えます。同じスピードを出していた
としても坂道を登るときの方がより負荷がかかります。負荷がかかれば
それが熱というかたちで返ってきます。
 キャビーナはそもそも同一排気量では車重が大きい上に空気抵抗も
かなりあり、普通の速度で走るだけでもかなりの負荷がかかります。そ
のため同じエンジンであるリード、ジョーカーよりもメインジェットを大きく
して燃調を濃くすることにより冷却効果を得ています。燃料を薄くしてチ
ャンバーを装着するなどで如実にパワーアップしますが上記理由で負荷
が大きいのに放熱効果をさげてしまうと熱膨張から摩擦による焼きつき
となってしまいます。
 フロントスクリーンはライダーにとっては非常にありがたいのですが
フロントスクリーンにはじかれた空気が生み出す負圧によりエンジン
自体の冷却効率もさがってしまいます。
 実際に度重なる改造でパワーアップしていることは実感できるので
すが15分ほど走っているだけで熱ダレからなのかだんだん力がなく
なっていきます。
 キャビーナのような屋根つきには空冷エンジンは既に限界なのかな
と思いました。

 そこでシリンダーおよびシリンダーヘッドの空冷フィンに無数の穴を
あけることにより冷却効果を高めようと思ったのですが思い立って水冷
化を目指してみることにしました。まずは水冷ヘッドの製作にチャレンジ
してみます。

(※ うまくいかないと思います。途中でボツになってしまうかもしれません。
でもできるかぎりやってみようと思います。何か名案がございましたら
ご意見よろしくお願いします。

)

 とりあえず100mm角で厚みが20mmのアルミ板を買ってきました。お
まけで30φx20mmの丸棒を真ん中付近に溶接し穴をあけてみました。
専門家ではないので自分のカンで作っていますが現在は写真のとおり
の状態です。燃焼室の大きさ、深さは加工方法を考えながらあとで
調整しようと思います。
とりあえずプラグがつく場所と燃焼室からです。

 V0.02 2004/7/14

 とりあえず先に燃焼室を仕上げてしまおうと思ったのですが、ボア径
が48mmであることを除いてほとんどわかりませんので、どのくらいの
深さを、何度くらいで削ればよいのかわかりません。まず、体積計算
の為の簡単なプログラム
を作成し、ノーマルヘッドの形状をアバウトに
入力して計算してみたところ、プラグ部の体積を含めず11cc程度でした。
体積が同じくらいになるようにUFO型に近づけて形状を入力して決定
しました。あとはそれに沿って削りだしてみました。

 元の100X100の材料を80X80に切り落とし、平たい板の中心に65X65
の穴を開け、そこにすっぽり収める予定でエッジを7mm程度削りました。

 現在プラグを装着すると一応シリンダーヘッドとして機能するところまで
きました。今後外を囲う箱型を作成し、その中心にこのヘッドコアを装着
する予定なのですが、今後の課題は水漏れ対策です。

 プラグ部分は32φのパイプを接合し、箱から突き出させる予定ですが、
4本のボルト部分をどうするかが未定です。(何かよい案がございましたら
よろしくお願いします)
 
現在の加工工程です。左の図は、ホースを接続するためのパイプを先に作ってみました。
 
 V0.03  失敗作 2004/7/18

横板、天板、底板と加工して、プラグの部分とボルトの部分のよけをパイプ
で作成した後に溶接する計画でした。手持ちの接合道具ですが

1・アルミロウ
2・アルミハンダ
3・アルゴンMIG溶接機
4・エポキシパテ

上記順で接合できればよしと思ったのですが・・・・・
 アルミロウは3mmくらいまでの板接合および板とパイプの接合ができ
ますが厚ものは加熱が届かないためくっつきません。
 アルミハンダは低融点なので厚ものでも加熱しきれ、接合できるの
ですが流動性がロウより劣るため隙間をうめるのことができません。
 アルゴンMIG溶接は板と板の接合にむいてますが異なる厚みの板
やパイプと板を接合することが困難で、ワイヤーを速めに送らないと
アークが安定しないためこういった小物の溶接には不向きなのです。

パイプと板をロウ付けしてから板と板をハンダ付けしてそれでも手が
届かない場所と加熱すると問題が出る場所はエポキシパテで接合
するようにしました。
 ノーマルシリンダーヘッドのフィンにゴム部品が設置されていたこと
と、水冷の水温が100度を超えない事から常時耐熱温度200度のエ
ポキシ金属パテで十分なはずなのですが・・・・・

 やっぱりだめでした・・・TIG溶接機がないと自作するのは無理なので
しょうか・・・形は機能しそうなのですが水がもれてました・・・・


・・・・加工方法を検討しなおします。部品点数をへらして溶接工程を
最小限にとどめないとむずかしいと思いました。

 現在の実績と問題点としては、

・アルミブロックからシリンダーヘッドを削りだすことは可能
・穴位置を正確にあけることはけっこう難しい
・複雑な形状の溶接は不可能
・ボルト穴位置の水をよける方法が問題

既製品購入の方が安いのですよね・・・。

水漏れしまくりでした・・・

 V0.2 アルミブロック削りだし 2004/7/31

ちょっと間があいてしまいました。シリンダーブロックを水冷化する方法も
考えてあるのですが、実現できるのか、実現できたとしてその効果が
どれほどあるのかを考えているうちに時間が過ぎてしまいました。水冷
ヘッド作成再開です。

前作での失敗は板材を多用し、接着による箱形成では気密性を確保
できないことでした。そこで第2弾としてはアルミブロックを削りだすこと
により水路を確保してみようと思いました。フライス盤があれば削りだし
もできるのですが、そもそも金属加工に縁がないので知り合いもいませ
ん。場所をとらない機械であれば購入してもよいのですが・・・・
 以前購入してなかなか出番がなかった彫刻機を使用することにしまし
た。パソコンでCADライクな入力をし、削りだすラインを決定します。

図で黒(グレーかも)のラインを15mm、赤のラインを10mmで切削する
予定です。水色のラインは残る部分です。
本当は25mm厚のアルミ板で、110x110のサイズがあればよいのですが
東急ハンズで入手できたのが 20mm厚で100x100でした。体積、容積
ともに不足しているのですが空冷と違い、熱伝導効率がよいと信じて
このサイズで加工を進めてみました。

削りだすと、水の流れるラインがわかると思います。

あまりに時間がかかるため、1日かけて第一切削しか終わっていま
せんが今のところ予定通りにいっていると思います。今後第2切削、
燃焼室切削等をしようと思います。
このブロックに蓋をする形で、蓋にパイプを2本つけて水路になる予
定です。


 V0.2.01 水冷化始動 2004/8/7

V0.2の水冷ヘッドが完成しました。上ぶたは液体ガスケットで漏れないように
してみました。パイプの高さが同じ位なので自然対流は発生しないと思います。

水漏れはしませんが・・最後に手を抜いてしまったため、プラグ穴が斜めに開いてます。

オークションで NS-1用のラジエターを入手し、ウォーターポンプを発注して
ホースを買いに行きました。一番困ったのがこのホースで、耐熱温度100度
位のものが簡単に手に入ると思ったのですがどこにも売っていませんでした。
仕方がないので普通の耐圧散水ホースを使用することにしました。
車載前にラジエター、ポンプ、ヘッドを連結し水漏れ実験を行ったのですが
ホースとパイプの接合部から水が漏れます。シールテープを使用すること
にしました。

ラジエターの設置は上図の位置にしました。ウォッシャー液のタンクは
もともと使用していませんでしたので撤去しました。フロントカウルは
大穴をあけます。

なんとかホースをとりまわして始動までこぎつけたのですが・・・問題が
多々発生しました。ホースを取り回したときにホースが曲がってつぶれ
てしまうのです。ホースがつぶれることでポンプの圧力が高まり、最初
はもれていなかったポンプとホースの隙間から水漏れが発生しました。
この点を改善しないと安全走行は厳しそうです。また、走行してしばら
くするとラジエターがかなり熱を帯びていますので水冷ヘッドが予定ど
おり熱を逃がしているのですが温度が高すぎるようにも思います。
NS-1用のラジエターでは小さすぎるような気がします。

とりあえず動かせただけ・・・ですが自分で作成したシリンダーヘッドで
普通に動きましたので手ごたえはあったと思います。


 V0.22 微調整 2004/8/8

始動後にしばらくしてから水漏れが発生しているのに気がつきました。
後でわかったことにはラジエターと接続しているホースの下側から水が
大量にもれていました。ラジエターにもともとついていたホースをそのま
ま使用していたのですがホースバンドがずれていました。しかし原因が
それだけではなく、水冷ヘッドに接続したホースが曲がってつぶれたこ
とにより無理な圧力がかかったこともあると思います。
 ホームセンターで業務用(バキューム用)スプリングホースなるものを
購入してみました。スプリング線が入っているため、結構曲げてもつぶ
れることがありません。

エアシュラウドの中に収めているので、水空併用冷却となっています。

再びばらしてホースの取り回しをして組み上げました。念のために水
ポンプだけ回して念入りに水漏れがないことを確認してからテスト走行
に入りました。空冷のときと同じ位の位置で温度計測も行いました。

アイドリング時  80℃  ???
通常走行時  79℃ 4000回転〜5000回転の一定速度
加速時  82℃ 5000回転をこえる加速
エンジン停止後  90℃ 停止後のMax値

うーむ。走行していると最初は50℃位なのですがしばらくしてから70℃
程度で安定します。加速などで80℃くらいまで上がるとそこから下がり
ません。上記計測値は誤差範囲で同程度の温度であると言えます。
しかし空冷時と比べてあきらかに温度が下がっています。

水冷ヘッドの燃焼室容積は計算では11.6ccで実測でもその程度でした。
しかしあきらかにトルクダウンしていたため、1mm面研をした空冷ヘッドの
容積を実測で計ると10CC程度しかありませんでした。仕方がないので
再び冷却水を抜いてヘッドをはずして1mmほど面研することにしました。
(-1.8CC)

今のところのインプレですがフィーリングが空冷の時より悪いと思います。
空冷から半水冷にかわったのでキャブレターのセッティングをしなおして
みようと思います。燃焼室の形も今ひとつなのでもう一度削りだしてみよ
うと思います。

しかしキャビーナの走行直後にリード90に少しだけ乗ってみましたが
この暑さで熱ダレしていたのか出足がもたついていました。その点は
水冷の方がよいのですが・・・・。


更なる冷却を求めて 2004/9/3

作り物が多かったため、なかなか更新ができませんでした。NS-1のラ
ジエターでもよかったのですが、80℃位まで上がると下がらなくなって
しまうのでもっと大型のラジエターを考えていました。どうせつけるなら
できるかぎり大型のものを・・・とZZR400のラジエターを入手しましたが
・・・・大きすぎてつきません。他の候補として、マジェスティ250、RZ250R
FZR250、RG125ガンマなどありましたが、写真からパイプ径を見て、
パイプの比率から全体の大きさを推測すると上記中ではマジェスティ
250しかつきそうにありません。 オークションの相場も高価でためらって
いました。
 本家NS-1のBBSで熱対策で、RZ125のラジエターがよいらしくさがして
みたところあまり程度はよくなさそうですが推測できる大きさを考えても
搭載できそうなので購入してみました。
 到着してよく見てみると、前影の面積はNS-1のラジエターの1.3倍
程度です。しかし厚みが2倍あるので蓋を開けてよく見てみると・・・・
なんと2層になっていました。効果はありそうです。

ラジエターの大きさはこんなものです。NS-1のものよりも幅は小さいため、最初に開けた穴が間抜けになってしまいました。

 水冷ヘッドも燃焼室形状を変えてみたかったので Ver0.2をもう一度
新しく製作しました。
 水ポンプでバッテリーがあがってしまう対策もしてみました。さらに水
ポンプ位置をセンタースタンド直上の空間に移動し、水ポンプスイッチ
をシーソーに変更し、1方はレギュレータ直後から取り出し、(レギュレ
ータの直後にダイオードを設置したためその直前) 他方はメインスイ
ッチ後(ダイオードの直後に設置するとメインキーがオフでも駆動して
しまうため)にしてみました。

グリップヒーターの右側にスイッチを配置しようとしたらメーターにぶつかりました。水温計は2000円の物を流用しています。
ホースの取り回しはこんな風になっています。リード100のステムになんとか泥除けもついています。

 今回の水冷ヘッドは前回と基本的に同じものですが、前回はプラグ差込
部分を5mm持ち上げるためにアルミ丸棒を接合したのですが今回は
それがありません。プラグの位置が5mm下に来たためより高圧縮に
なってしまいました。
 はしるとトルクフルで気分がよいのですがピストンが1本リングなので
あまりの高圧縮は耐久性が極端に下がるため、ベースガスケット1枚
追加で様子を見ることにしました。

 かんじんの温度は冷却ファン(パソコン用12cm)をまわさない状態で
70℃位でとまりそうです。ラジエター用のカウルの穴がNS-1サイズ
なのでもう少し大きくしなければならないのですが、水温状況でこのま
まいこうと思います。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あまり改造の結果として動力性能については触れないのですが、
現在まででどのようになっているかと述べますと・・・・・

理想は80Km/h 最高速でそこまで一気に加速するマシン
なのですが現実はなかなか難しいようです。

現在は高回転型になってしまっています。出だしが悪くなりました。
最高速は90Km/hを越えますがまだ余力がありそうです。

問題点も抱えています。ホースの耐久性が今ひとつです。新品のうちに
ホースバンドできつくしめても熱でやわらかくなるため、各部接続箇所から
水がもれてしまいます。再びホースバンドをきつくしました。

 


失敗を積み重ねて・・・ 2004/9/6

シリンダーの水冷化にシフトしました。以前、最初に思いついたのは空冷フィン
の隙間に水を流す方法です。実現に向けてシリンダーを見渡すと、スタッドボル
トの通る場所がむき出しになっています。まわりを囲ったとしてもそこから水が
クランクケースめがけてもれてしまいます。直接空冷フィンに水が当たらなくても
水が間接的に熱を運ぶような構造にすればよいわけですが、色々考えて一つ
づつ実行してみることにしました。
 空冷フィンの隙間に水を通すためのパイプをめぐらせる方法が浮かびましたが
空間の無駄が多く、パイプを隙間なく曲げることは非常に難しいのでだめでした。
しかしパイプの代わりにパネルにすれば容積を稼ぐことができると思い、5mmの
アルミ板の中を折り返し水路を作るようにくりぬき、上下を1mmの板でサンドイッ
チして水を流すことにしました。
左から水が入り、右側に抜けますが実際の水路は複雑になっています。

作成して空冷フィンの隙間にあてがってみたのですがシリンダーの造詣が悪く、
まったく密着しません。どれだけ熱伝導効率が良くても密着しなければ熱を運搬
できません。シリンダーをグラインダーをあてて整形しようとしたのですが、3段目
の排気ポート付近は、エキゾーストフランジがあるために不可能です。実際に
回転砥石をあてても逃げてしまうため、水平面を出すことはあきらめました。

次に水冷パネルはあきらめて、シリンダーのスリーブに密着させる形でアルミ
板をシリンダーにはめこみ、最終的にまわりをアルミ角パイプで囲んで水を
通すことにしました。1枚作ってシリンダーにあてがってみると・・・シリンダー
のスリーブの付近は非常にデコボコであり、径を正確に測ってもせいぜい点
接触程度しか見込めません。これでは水路まで距離があることも災いして
冷却効果が見込めません。この企画もボツになりました。
スタッドボルトの逃げをつくってあります。さらに排気ポートの逃げ部分もあります。

どうにもうまくいきません。一番の問題は密着性が悪いことです。それならば
クリップなどで空冷フィンをはさむことができるのならば、熱伝導効率の高い
物質でクリップの代わりを作り、それを水路に密着させることで放熱させるしか
けを考えました。
 材質は銅を使い、クリップ状ののものを板状のものにロウ付けして、シリン
ダーを囲むように取り付けて、ロの字型の角パイプ水路に密着させることにし
ました。
 そのためのパーツを作成して、ロウ付けしましたが・・・
銅に極端な熱を加えるとナマシがきつくなってしまい、実用硬度がなくなってしまいます。ハンダ付け程度が限界でしょうか・・・。

くにゃくにゃになってしまい、クリップとしてのはさむ力がなくなってしまいました。
これでは放熱できません・・・。

失敗ばかりですが、
今後の予定で
・金属パテで無理やり水冷ジャケット
・ヒートパイプによる水冷
を実行する予定です。

何か良い案がございましたらなにとぞよろしくお願いします。
水蒸気まみれのエンジンルーム 2004/9/12

金属パテにより、水冷ジャケットを製作しました。

・使用材料
 真鍮8mm丸パイプ
 アルミ1000系 2mm 板材
 アルミ 丸パイプ 15mm、18mm
 金属パテ ブレーニー技研 GM-8300
 

真鍮のパイプはスタッドボルトの4つの穴を8mmに拡大してそこに4段目のフィン
まで届くように埋め込みます。水が漏れないようにロウ付けするとよいのですが
金属パテで埋めてみました。
4段目の空冷フィンの形をトレースして、アルミの板を雌型になるように切り抜き
ます。切り抜いた板を4段目に金属パテで接合し、4段目のみ長方形になるよう
にします。
 天板は125X115mm、横板は 125x32 111x32 で天板を80x80でくりぬきます。
天板と横板をアルミロウで接合します。出来上がったものをシリンダーにかませ
て金属パテで無理やり隙間をうめていきます。

 

事前耐水実験で圧力をかけてももれないことを確認しました。実際に取り付け
ようとしたところ、インテークマニホールドが干渉したため、急遽横を5mmほど
くりぬき、干渉しないようにし、さらに金属パテで漏れないようにかためまして
搭載しました。
 上図のとおり、クーラントを補充したところまでは問題ありませんでした。
全水冷になるため、強制ファンも取り外し試走に出ました。

約2.5Km走行したところで音が大きくなってきました。吸気ダクトがはずれて
しまったためだと思いましたが、燃料が薄くなってオーバーヒート直前の音
に良く似ていましたが、水冷なのに・・・と・・・・振り返ると水が勢い良くもれて
います。急遽停止し、エンジンルームをのぞくと確かに水のもれた後があります。

水ポンプスイッチをバッテリーモードに変更して回してみたところ、とりあえず
家に戻れるくらいのクーラントはありそうだと思い、そのまま家に帰りました。

ここで水ポンプのスイッチをOFFにしていたことに気がつきませんでした。その
場所から家まで1kmもありませんが、到着した瞬間、エンジンから蒸気が
もくもく噴出していました。水ポンプが回っていないことに気がついて急いで
回したところ、蒸気はおさまりましたが・・・  完全な失敗作です。


水冷といえども、
・水が漏れている状態、
・エアが混入している状態
・ホースに圧力がかかっている状態

では冷却効果がほとんどありません。スクーターのように強制冷却マシンで
冷却をストップするとあっという間に焼きつきます。(50CC ならもう少し耐える
かもしれません。)


結局原因は上部の金属パテとシリンダーの空冷フィンの隙間からの水漏れ
です。熱が加わり、結合がゆるくなったのかもしれません。 上部の接合だけ、
地ならしをしていなかったためだと思います。
 金属同士の接合の前には、必ず荒いヤスリがサンダーなどで表面を荒く、
油分を飛ばしておかなければ密着しませんので気をつけましょう・・・。




・・・・・・
接合方法に問題がありましたが、水冷ジャケットが一番現実味がある水冷化
手段だと思いました。今回はアルミと金属パテ でしたが 次回は鉄板と銀ロウ
でもう一度チャレンジしようと思います。


??? 2004/10/2

水冷ジャケットを鉄で作り、シリンダーにロウ付けしようと思って実行したのです
が大問題が発生しました。鋳鉄はハンダもロウもくっつかないのです・・・・。
仕方がないのでMIG溶接機をひっぱりだして実験してみましたが、鋳鉄の溶接は
非常に難しいのです。TIG溶接機以外で、水が漏れないように溶接するのは困難
です。しかも冷えたときに鋳鉄が割れてしまうというのも問題です。

途方にくれてしまいました・・・。金属パテでは簡単にできるのですが・・・・

次のプランをとにかく実行してみます・・・。
次のプランのための下準備です。一体どうなるのでしょう・・・・ 

V0.3完全水冷化始動 2004/10/9


シリンダーの水冷化を考えたとき、空冷フィンを利用することばかり考えていました。
何回かの試行により、金属パテ以外の有効な冷却方法がないことと、シリンダー
の冷却は筒(シリンダー)状の部分を冷却しないとだめだと思いました。
 すぐに思いついたのは、空冷フィンを根こそぎおとして、ウォーターリングをかぶ
せる方法でしたが、それを作る方法が思いつきませんでした。板材を切った貼った
では真円にすることはできないからです。
 ふと思いつき、厚手の板材に水路を作り、張り合わせることにしました。
 

そして作成したのが上図の物体です。20mmと15mmの板材を彫刻機で水路を
彫り、張り合わせたあと穴を開け、シリンダーの外径と同一になるように真円
でくりぬいてあります。水冷ジャケットよりも高剛性で、再利用可能な
水冷鎧(ウォーターアーマー)
です。
これを実際に装着したシリンダーは下図のようになります。

パイプの取り付け位置が異なるのは、キャブレターの関係で左側をずらしたためです。 

フィッテイングはうまくいき、耐水圧実験も、水漏れ実験も問題ありませんでし
た。当初予定ではアルミハンダで上下接合するはずだったのですが、実行
したところ密着しなかったため、ボルトオンにしました。黒い液体ガスケットで
密着させています。

 今までの構成を変更し、シリンダーを交換しました。くみあげるとこんな感じ
です。

鋸目がでています・・。
暇になったらぺんぎんくんの彫刻をいれようと思います。

とりあえずテスト走行に出かけました。本日が台風なため、満足な結果はで
ません。大丈夫なのかだめなのかの判定はできませんが、水漏れはおきて
いません。焼きつきもありません。
 どちらかと言うと水温が上がらないため、オーバークール状態になっています。
水ポンプを停止すると加速がよくなるような感じですので冷却効果はあるよう
です。天気が回復したらテスト走行しながら問題点を考えようと思います。

とりあえずここに完全オリジナル&完全自作の全水冷システムが完成しま
した。

耐久性やその他の問題点がでるかもしれませんし、手間が掛かったわりに
効果のほども謎です。推奨できるものでもありません。しかしやっとここまで
これたという感じです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(10/10)
 多少走ってきました。といっても秋葉原にヒートパイプを物色に行ったのですが
どこで売っているのかわからないままでした。

 半水冷の時より水温が上昇しますが、現在の気温では70℃程度でしょうか。

 冷却そのものに問題点は無いと思います。ところが先日と本日でトルク感
がまったく違います。先日は気温のせいか燃料が薄く、まるでトルクがでない
感じでした。空冷ファンとエアシュラウドがなくなったため、キャブレターを温め
るものがなくなったしまいましたので燃料の気化が悪いようです。キャブレター
にふれるとひやっとします。

 多孔化プレートなども良いのでしょうが、キャブヒーターを設けないと冬場は
つらいようです。
 最近の水冷のエンジンは、冷却水をキャブレターにまわすことでキャブヒー
ターとしているもようです。友人のTZR50にもついていると聞きました。今後の
開発対象としようと思います。


V0.3.01 微調整 2004/10/15

 キャブヒーターの製作をしようと思っていたのですが思い違いがありました。
しばらく走行するとアイドリングが下がってしまうので、キャブレターの気化状況
が悪いと思っていたのですが逆に濃すぎるようです。

 直接の原因は半水冷時に現在の水冷ヘッドでベースガスケットを2枚がさね
にして圧縮比を下げていたのですが今回全水冷になったため取り外したので
圧縮比が上がったために空燃比が変わったためと思われます。

 現在のキャブレターVM20はもともと空冷エンジン用の銀色バージョンのもので
ジェットのセッティングはひどく濃い目にふられています。同じVM20でも黒バー
ジョンのものはジェット類は同じものですが、番手が半分ほどになります。

 とりあえずSJを30→25に変更しました。それでもエアスクリューの戻しは3回
転です。かなりアイドリングが安定するようになりました。MJは150# 程度が最良
かな・・・と思っています。

 圧縮圧力11.5KGでトルク型になっているためにWRは12Gにしています。1クラス
上のフィーリングでとてもよい感じです。水冷シリンダー用に、使ったシリンダーは
ボーリングしてもらった新品(?)なのでしばし馴らしもかねてこのままでいこうと思い
ます。
V0.3.02 問題点と課題 2004/10/24

 引き続きキャブレターの問題点です。台風の日に通勤で使用していたのですが
アイドリングが不安定で今にも停止寸前です。エアフィルターが乾式なためもある
のですが、そもそもエアクリーナーの中に水がたまっていました。


 エアクリーナーの接合部の隙間から少しづつ水が浸透しているようです。湿式の
フィルターならばある程度は大丈夫なのですが、乾式の場合、水分を吸い込むと
混合気中の水蒸気比率があがるとエンジンストールしやすくなってしまいます。

なんとかキャブヒーターを作成しようと思っているのですが、キャブレター形状が
複雑なため、有効な方法が得られないままです。水冷のホースを分岐させてキャブ
側に何とかまわそうとしているのですが・・・

キャブレターのフロート室にアルミパイプをロウ付けして温水を流そうと思い、バーナ
ーであぶったところ、いきなりゆがんでしまいました。ボルトオンで装着する方法も考
えたのですが、形状が複雑なのと、素材が薄いので有効な方法がつかめないまま
となっています。

 既存キャブの加工は困難なため、ヒーター付のキャブレターとして、TZR125の
VM26等に変更したほうがよさそうです。VM26を装着するにはインテークマニホー
ルドを作成するか、既存のマニホールドへの変換アダプタを作成しなければなりま
せん。

しばし方法を考案中です・・・。


水冷化そのポテンシャル 2004/10/27

何の変更もないのですが、全水冷になり3度目の給油をした時点で300Km
ほど走行したので馴らしもよいとして、帰り道、実際にどのくらいまで回せる
のか試してみました。

 先日、ノーマルらしき最終型のキャビーナと通勤時に走行性能の比較の
ためにしばし追跡してみましたが加速・最高速はほとんど同等と思われま
した。
 マフラー以外フルカスタムの状態でなさけない結果なのですが、現在の
エンジン特性が6000回転からパワーが立ち上がるので、現在の12gのWR
ですと80Km/hを越えないと真価を発揮しません。現在は圧縮比にものを
言わせたトルク仕様です。そのポテンシャルを計ろうと思いました。

 センタースタンドをたてて空ぶかししてみたところ、10000回転を余裕で
越えてしまいます。12000回転で怖くなってやめました。

その後・・・・なんと一撃で駆動系に異常をきたしました。クラッチミート時に
振動が出るようになってしまいました。

仕方が無いのでストックのDAYTONA製の新品クラッチスプリングに交換
し、ためしに7gのWRに変更しました。

振動が消えません。トルクカムのピンがやられてしまったかもしれません。
それですめばよいのですが、場合によってはファイナルギヤを交換する
必要があるかもしれません。

しかし・・・加速で8000回転を越えます。チャンバー装着時より加速がすご
くなっています。チャンバー装着時のWRは6.7gだったのですがそれ以上に
回っていると思います。

最高速がのびるかどうかは別です。しかし最高速が伸びても危険なだけ
ですのでこの加速性能は文句なし・・・と言いたいところですが、キャビーナ
の重量でこの加速性能は耐久性に著しく問題がでます。今回の7gWRは
テスト用なので、最終的には10.5gになると思います。


キャブヒーターの作成 2004/11/20

水冷化してから特別なトラブルも無く現在も順調です。WRは現在10.5Gに
してあります。エンジンは水冷ですが駆動系は空冷ですので走行して30分
も経てば熱ダレでクラッチミート回転数が500回転以上下がってしまいます。
駆動系の対策に別ページを立てようと思います。

さて、ずっと停滞していたキャブヒーターの作成です。
キャブヒーターといってもコの字型のパイプをくっつけるだけなのです・・・

買い置きしておいた台湾製PWKのコピーバージョンのOKO28です。
キャブレターを可能な限りばらしてバーナーであぶってアルミハンダでなんと
か接合できました。熱で駄目になるのを覚悟で実行したらなんとかなりました。

キャブヒーターといってもこれだけです。冷却水を循環させればエンジンの
熱で一定温度で保たれます。電気式のヒーターですと一定に保つために
サーミスタを使用するためにいろいろくっつける必要がありますし、水冷マ
シンのキャブヒーターはほぼ冷却水をまわすだけですので。

キャブヒーターそのものはこれでよいのですが、実はこのキャブレターを
キャビーナにそのまま装着することはできません。HONDA縦型用のインテーク
マニホールドを使用しなければならないのですが、現在水冷システムのパイプ
が干渉して使用することはできません。 干渉しないようなマニホールドを製作
するか水冷シリンダーアーマーのパイプを干渉しないように再作成する必要
があります。

破壊覚悟で現在のVM20キャブにも装着できればよいのですが・・・
装着までまだ時間が必要です・・・。


キャブヒーターの実装 2004/12/29

12月に入ってから気温がぐっと下がったせいでエンジンが不調になってしまい
ました。
チョークを引けばエンジンはすぐに始動するのですが暖気を10分してもよくな
りません。
すぐに走行して10分位経つとまともに走れるようになってくるのですが、アクセ
ルをあけると失速するという典型的な燃調が薄い状態です。チョークを引くと
力強く走りますがすぐにガボガボいってしまいます。

キャブレターが温まらないのでガソリンが気化した時に気化熱でキャブが冷えて
燃料が気化しなくなり、液体のままある程度こぼれる状態でクランクに押し出さ
れるとクランケースの熱で気化して・・・を繰り返してしまいアイドリングも不安定
で力強い加速と失速が交互になってしまいます。

さて、ノーマルエンジンではエアシュラウド(空冷エンジンの腰上を覆っている
樹脂製の黒いカバー)に、キャブレターに暖気が当たるように2cm角の穴が
あいていてそれがキャブヒーターになっています。空冷エンジンの空冷フィン
の表面温度は100℃を超えますのでかなりキャブレターが暖められています。
同じくらいの熱量を与えられれば良いのですが・・・

結局コの字方に接合したアルミパイプを、30φ程度のRがつくようにでへこま
せた5mmの板材にロウ付けして、熱伝導グリスでキャブレターと接触させた
あとで金属パテで固める・・・という強引な方法でVM20キャブに装着しました。

また、シリンダー側からヘッド側につないでいるホースに15mmのアルミパイプ
でジョイントを作成し、7mmのアルミパイプに分岐させ復帰させる・・・ような
ものを作成してキャブレターに冷却水を回す方法にしました。

シリンダーからヘッドへ接続するホースを分岐させてキャブレターまでまわしています。


結局効果のほどですが・・・

熱量が足りないのですがガスが薄くて失速・・・ということがなくなりました。
雪が降る中水温計が1℃でしたがエンジンをかけ、5℃位の時に普通に走行
できるようになりました。エンジン始動直後は急なアクセルONで失速しますが
少し走ればまったくおきなくなります。

キャブのセッティングも変更し、ニードルのクリップ位置を最上段(最も薄くなる)
にしたところストールして発進できなくなりましたので最下段にしました。トルク
感はよくなりました。


水冷化終了 2004/12/29

半年にわたり続けてきた水冷化計画ですが一応実用化できたことをもって
終了することにしました。耐久性とメンテナンス性から空冷エンジンでの効率
を追求するためにひとまず水冷をやめます。最後に現状での問題点をあげ
ることにします。

問題点

・メンテナンス性の低下
  水冷のホースが張り巡らされているため、マフラーの脱着にも手間取ります。
  また、シリンダーをはずすときにどうしてもクーラントがこぼれてしまいます。
・耐久性の低下
  自作ヘッド、水冷鎧の問題はないと思いますが、高圧縮の為、ピストンリング
  クランクシャフト、ベアリングがもちません。コンロッドのニードルベアリングが
  やられてしまい、コンロッドが左右に振ってしまいました。


利点

・焼きつかない
  高回転まで回しても(ピストンは)壊れません。
・高圧縮によるトルク
  ビッグキャブとの相乗効果で発進は125CC以上のフィーリング
・回転レスポンス向上
  クーリングファンが無いこと、熱によるフリクションロス低下による
  レスポンスアップ


結局クランクシャフト、クランクベアリングを交換し、ノーマル90+αの状態に
変更しましたがあまりの非力さを感じました。

水冷ヘッド、水冷鎧付シリンダー、ピストン等、水冷にするパーツは全て健在
ですので再び水冷に戻すこともできます。

とりあえず次の目標を フリクションロス低減による高効率化を目指すことにします。







inserted by FC2 system